【 マルチビューカメラ 】
人の眼は解像度の高い中心視野(中心窩)と解像度が低く広い範囲を見渡せる周辺視野で構成されています。それぞれの視野からの画像情報を脳で統合することで、巧みに高解像度と広い視野を両立しています。カメラにも、高い解像度と広い視野の両方が求められる場面がありますが、カメラでは高い解像度と広い視野は同時には実現できません。
私たちは、限界を打ち破り解像度と視野角を両立するために、一台のカメラで異なる倍率の複数の視野を撮像できる独自の光学系を設計しました(Multi-view single cam光学系)。
【 マルチビュー光学系 】
車載用カメラでは車両前方の遠くの車両や歩行者を検出するために高い解像度が必要です。同時に車両近傍の歩行者を検知するためには、広い視野が必要です。私たちは、6つの眼の優れた視覚を持つジャンピングスパイダー(ハエトリグモ)に着想を得て、一台のカメラで異なる倍率の複数の視野を撮像できる独自の光学系を設計しました(Multi-view single cam光学系)。
【 jumping spider 】
プロトタイプの車載用サーマルカメラ:jumping spider の外観と撮像された夜間の超広角サーマルカメラ画像を下に示しました。サーマルセンサで撮像された広角画像と高倍率画像は統合されて一つの画面として表示されます。従来のナイトビジョンの視野角(20-30°)と比較すると、圧倒的に広い視野角(150x20°)が得られていることがわかります。画面の中央部は周辺部よりも高い解像度で撮像されています。
【 車内モニタリングシステム 】
マルチビュー光学系の異なる倍率で複数の視野を得られるという特徴を活かした車内モニタリングシステムの開発を行っています。運転者の状態を監視するドライバモニタリングと、乗員全員を観察するキャビンモニタリングの機能を、1台に集積した車内モニタリングシステムです。サーマルカメラを用いることで温度情報が取得できます。体温を測定することで、乗員ひとり一人に合わせた快適な車内環境を提供できます。また、顔面の温度分布からドライバの覚醒度や眠気を推定することで、安全運転を支援します。
【 応用分野 】
マルチビューサーマルカメラの異なる倍率で複数の熱画像を得られるという特徴を活かした様々な応用が考えられます。
・ 自律走行モビリティへの応用
搬送・配膳ロボット、シニアカー
建設・農業車両、ドローン
・ 見守り・監視への応用 、防犯・防火、
獣害対策 、交通監視、工場安全監視
探索救助、学習支援
・ 検査
ソーラパネル検査、住宅診断
漏水検査、インフラ検査